失敗が許されないドコモが選ぶ道はUI/UXに優れた銀行の買収しかなかった話。


NTTドコモが住信SBIネット銀行を買収する方針を固めたというニュースが飛び込んできました。エムット、OliveとPayPayの提携強化など、銀行に関するニュースが頻発している中、これは単なる銀行参入ではなく、キャッシュレス経済圏の勢力図を塗り替える、また大きな一手と言えます。

ちょうど先日の投稿で「何を使うか」から「どの陣営に参加するか」という選択が加速するという話をした中、携帯4キャリアで唯一銀行を持たなかった今回のドコモの動きは、ある意味で必然だったのかもしれません。

スマートライフ事業の中核となる金融事業を持つドコモですが、d払いでの度重なるシステム障害が金融庁からの信用にも関わる中、ゼロから銀行を立ち上げるリスクは大きすぎました。

5年以内に銀行単体で黒字化しないといけない不文律に対するハードルは高く(auじぶん銀行も三菱キャッシュワンをM&Aしてミルク補給で5年目に黒字化)、ドコモとしては他キャリアの戦略に対抗するための早急に"パーツ"として銀行を保有し、他の3キャリアに対抗する必要がありました。

となると残された選択肢はM&Aしかなく、システムトラブルを避けるためにもUI/UXに定評のある住信SBIネット銀行は理想的な買収先でしょう。同行は「新しい銀行をデザインする」をコンセプトに、アプリの顧客満足度で高い評価を得ていました。

当面はdカードの引き落としをポイント優遇するなどサービス連携からスタートし、デジタル給与も見据えて生活密着サービスとの連携を強化するでしょう。

Oliveやエムットなどメガバンクグループが総力を上げ、PayPayも銀行取り込みを強化する中、ドコモは出遅れていましたが、黒船襲来のような業界再編の中、この買収はリーディングカンパニーとして必要な一手だったのでしょう。

先日の投稿でも示唆した通り、傘下に銀行を持つ企業グループは今後、キャッシュレス戦略について本腰を入れざるを得ません。私たちユーザーにとっては利便性向上の可能性がありますが、選択は複雑になりそうです。

金融庁の目も厳しい中、システム障害を起こせば経営問題に直結する。通信障害で決済できなければ致命的と、ドコモの銀行買収は、ある意味「失敗できない」からの決断と言えます。

携帯各社の"経済圏"競争は「誰のポイントを貯めるか」という顧客心理の争奪戦。銀行口座を押さえることは、この戦いの要。だからこそドコモは即戦力の銀行を選び、これによって、ますます”キャッシュレスは銀行との連携強化”が必須になるサービスになりそうです。
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